印 章 ○印の歴史 ○印鑑の種類 ○署名と記名捺印 ○実印と印鑑登録 
会社の印鑑 ○署名、印鑑をめぐるトラブル ○「書」の落款 ○豆知識
  署 名

 契約書などに、自分の名前を記す方法として、署名と記名があります。
 このうち署名とは、本人が自ら手書きで書くことをいいます。つまり、サインです。欧米をはじめとする諸外国では、このサインで何でも済ましてしまいます。
 たとえば、国家間の合意にもそれぞれ代表者のサインで締結しますし、小切手の発行や重要な契約書もこれでやります。
 私たち日本人からしますと、少し危険な感じもしますが、筆跡は人によって異なり、筆跡鑑定をおこなえば、確定できるので、サインは本人が作成した文書であることを最も確実に証明する証拠とされているようです。
 日本においても、契約書などは、あとから文句をつけられない確実な方法としては署名をし、なおかつ捺印をするのが理想といえます。
 しかし、文書の中には、遺言書のように本人が署名をしたものでないと無効になってしまうものもありますが、契約書は署名ではなく、記名捺印でもかまわないとされています。
  記名捺印

 記名とは署名(サイン)以外の方法で自分の氏名を記載することをいいます。
 ワープロで打っても、ゴム印を押しても、また、他人に書いてもらっても、とにかく氏名が書いてあればよいのです。
 記名は、署名をする労力と時間を節約する点では便利ですが、本人の直筆ではないので他人が無断で記名をする危険があります。
 したがって、年賀状などふつうの私信文書は記名だけでもよいのですが、そうでない場合、法律は記名だけでは署名の代用としての効力を認めず、その記名の末尾に、その人の印が押してある場合にかぎって、署名と同じものとして取扱うものとしています。
 (商法中署名すべき場合に関する法律、手形法第82条、民事訴訟法第326条など)よって契約書に氏名を表示する有効な方法は署名もしくは記名捺印ということになります。
  署名か記名捺印か

 理想からいえば、署名した上で捺印してもらうのが証拠力という点では一番といえます。
 署名と記名捺印は、法律上の効力は同じです。しかし、文書の信用力からいえば署名のほうが勝っています。理由は、記名捺印の文書は、そこに押されている印が本人の印だとしても、それは、他人が勝手に盗用したこともあり得るからです。
 まして、いわゆる三文判のように店で売っているものが使用されていて、本人も否定した場合に、その証明がむずかしくなります。
 したがって、契約書にはできるかぎり、相手に署名をしてもらうのが安全といえます。さらに、署名の上に、捺印をしてもらうべきです。なぜなら、日本の生活慣習において、印を押すということが、まさに承諾したという確認の意味を持つといえるからです。また、押印がないと、あとになって、相手に「下書きだった」とか「まだ決心がついていなかった」などという弁解をされてしまうことも考えられます。
 さらに筆跡鑑定の結果、それが署名ではなく、他人が代わって書いたものと判定した場合でも、そこに本人の印が押してあれば、「記名捺印」としての有効性が保持されます。よって、署名の上、捺印をするというのがいちばん確実な方法となります。
  拇印と書き判

 拇印とは指先に朱肉などをつけて押し、指紋を残すことをいいます。
 書き判とは、手書きでその人の姓や名、頭文字などを書き、その字のまわりをかこんでサインすることをいいます。
 これら拇印も、書き判も捺印とは認められません。署名の場合はかまいませんが、記名の場合に拇印を押させたり、書き判をしても「記名捺印」としての効力はありません。これまでの裁判例でも、拇印による手形・小切手の振り出しは無効とされています。
 ただし、まったく意味がないわけではありません。捺印のない文書の場合、それは最終的な意思を表示したものでないと言い訳される恐れがありますが、拇印や書き判があれば、その言い訳を防ぐことができます。