印 章 ○印の歴史 ○印鑑の種類 ○署名と記名捺印 ○実印と印鑑登録 
会社の印鑑 ○署名、印鑑をめぐるトラブル ○「書」の落款 ○豆知識
印 章

 木・石・角・牙・ゴム・金属などの材料に、文字や模様、または記章・絵図などを彫刻もしくは鋳込むことによって材面に凹凸をつくり、これに朱色・墨色その他の色料をつけ、また金属材ならば焼いて、必要な他物に押し写し、個人・団体・機関などを示す表章とし、それらが発行した事実を確実にし、効力づける手段として用います。この場合、物に押し写した跡を印といい、また文字や模様などを彫刻した材料をも一般に印といいます。区別していうと、前者は印影(いんえい)、後者は印顆(いんか)または印材といいます。印は一般には「印鑑(印鑑とは、印を押してできた形、つまり印影のことをいいます)」や「はんこ」、「印判(いんぱん)」、「印形(いんぎょう)」などといわれますが、表章の意味から、正式には『印章』といいます。
印 材

 古くは銅が用いられていましたが、しだいに玉・金・銀・象牙・犀角が使われるようになり、さらに宝石類や陶磁・木竹の類も使われるようになりました。また、彫りやすく、印肉のつきも良く、刀刻の味わいがよく出るところから、私印、ことに画家・書家・文人などの雅印や遊印には、ほとんど石材が使われています。しかし、欠けやすい欠点もあることから俗間では牙や角、木竹の類の印材も多く使われています。ゴム材は、印材に彫刻するものと、型に流し込むものとの二法があり、製法も簡便ですが、印文が摩滅しやすい欠点があります。
印 肉

 印に色料をつけて押し写した色を印色といいますが、色料も印色と称して印肉といいます。中国では昔は赤い粘土を色料に用いたことから印泥(いんでい)ともいい、後には朱砂を水にといて使用するようになりました。さらに宋代ごろからもぐさと菜種油と朱砂を練り合わせる方法がおこなわれるようになり、印油という名称も生じました。日本でも、はじめは赤土を用い、後に朱砂が中国から輸入され、鎌倉時代には宋との文化交流によって私印の流行をみましたが、朱砂が高価なために墨色が多く使われ、江戸時代には私印に朱色の使用が禁じられました。明治以降は公私とも朱色が多くなり、現在はほとんど朱色が用いられています。
印 譜

 昔から代々伝わってきた印、また刻印家が彫刻した印を集めて編集したものを印譜といいます。宋の『宣和印譜』をはじめ中国では多くの印譜がつくられています。日本でも、慶長年間に藤原惺窩が『皇朝集古印譜』をつくったのをはじめとして、穂井田忠友の『埋塵発香』、長谷川延年の『集古印譜』などがあり、江戸時代末期から明治にかけては非常に多くの印譜がつくられました。